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2018年04月10日 14時03分

アイデア防災グッズ8件のクラウドファンディング、「WonderFLY」と同時に実施

アイデア防災グッズ8件のクラウドファンディング、「WonderFLY」と同時に実施

 朝日新聞社のクラウドファンディングサイト「A-port」と、全日本空輸(ANA)が運営するクラウドファンディングサイト「WonderFLY」が協力して、アイデア防災グッズのクラウドファンディングを実施している。「あなたの日常に防災をプラスする」をテーマに、8つのグッズが2つのサイトで同時に資金調達に挑んでいる。

 アイデア提案者の一人、june(ジューン)ことデザイナーの菅井麻絢(まあや)さん(28)は、緊急時にソーラーパネルとしてスマホの充電ができるケース「reimee(レイミー)」を考案した。6年前、福島県の中通りで東日本大震災を経験。ビルが崩れてしまうような被害でしばらく動けずにいた。同じころ、以前住んでいた地域は津波に襲われていた。「そこに住んでいて動かずにいたら、自分も死んでいたかもしれない。適切な情報が得られるかどうかが生死を分ける」と感じたことが原点という。

 女性向け下着の制作・販売会社ファンクションの本間麻衣さん(40)は、緊急時に洗濯に使えるバッグ、洗剤、下着のセット「レスキューガイズ」を提案。女性向けはすでに製品化していたが、今回は新たに男性向けを開発した。「避難所に洗濯ボランティアがいても『下着は自分で洗いたい』という人は多く、『男性向けはないの?』と聞かれることもあった。一緒にいる家族や恋人にも役立つはず」と説明する。

 今回の8案件は、7~9月にANAがアイデアを募り、集まった114件の中から選ばれた。受賞者は各100万円の賞金を元に試作品を作り、クラウドファンディングに臨んでいる。目標額が達成できたかどうかは、両サイトで集まった資金を合計して判断する。クラウドファンディングでは異例の試みだ。

 ANAの新規事業を担うデジタル・デザイン・ラボでWonderFLYを担当する梶谷ケビンさん(33)は昨年1月、新規事業として後輩とクラウドファンディングを提案した。「日本製はクールだという印象が薄れているが、主要部品に日本の技術を使っているスマホなども多く、イノベーティブなものはある」との思いで、研究所やベンチャー企業にお金が回る仕組みを作りたいと考えたという。同10月にサービスを開始し、日本酒や温泉などのテーマで提案を募ってきた。

 「ANAもヘリコプター2機から始まり、多くの人に支えられてきた。『挑戦する人の、翼になる』という思いで、今度は我々が挑戦する人を支えたい」

■資金調達中のアイデア防災グッズ8案件

<みまもりレシート> スーパーなどの買い物で渡されるレシートの裏面を活用。いざというときに役立つ知識をイラスト入りで分かりやすく説明した「防災100のコト」を印刷している。毎日の暮らしの中で目にしてもらうことによって、防災意識の向上を目指す。

<First Aid Shirt(ファーストエイドシャツ)> 災害時や出先で思わぬけがをしたとき、応急処置ができるTシャツ。ボーダー柄のように見える部分に包帯が縫い付けられ、必要なときに簡単に取り外せる。救急用具としての機能とともに、デザイン性にもこだわっている。

<防災観光ふろしき> 普段から持ち歩けるふろしきと防災マップを組み合わせ、災害時に役立ててもらえるようにした。避難時の目印と観光・歴史資源を同時にチェックできる「防災観光ルート」を掲載し、町歩きをしながら防災意識を高められるようになっている。

<レスキューガイズ> 洗濯や洗濯物干しに使えるバッグ、男性向け下着、洗剤のセット。すでにあった女性向けに続いて、新たに開発した。バッグを使うと、少ない水で洗濯をしたり、外側から見えないように下着を干したりできる。旅行やアウトドアにも使える。

<SUI+(スイト)> 災害時の脱水症状や熱中症を予防するための製品で、日ごろは普通の水筒として使える。体内で吸収されやすい「経口補水液」が作れるよう、必要な砂糖と塩の分量がはかれるようになっており、下痢や発熱の際の脱水症状を改善できるという。

<ルミナスアシスト> スマホの着信を光って知らせる直径2.7センチのデバイス。着信音が聞きづらいシニア層が身につければ連絡が取りやすくなり、本人も家族も便利で安心。自治体などが支給する見守り用QRコードのシールが貼れ、緊急時の早期対応にも役立つ。

<reimee(レイミー)> 普段は眼鏡やペンを入れるケースとして使い、緊急時にはソーラーパネルとして、スマホなどの充電ができる。パネルを内側にすることで、デザイン性を高めた。ケーブル、バッテリーは2個ずつ収納し、2人で一緒に使うこともできる。

<赤ちゃんのための防災マザーズバッグ> ミルクや水、お尻ふきなど、赤ちゃんが災害時に必要なものを収納。バッグはベビーベッドにも変形し、避難所でも赤ちゃんが寝る場所を確保できる。成長にあわせて、中身が簡単に入れ替えられるようにも工夫している。

8案件を掲載している特設ページは、https://a-port.asahi.com/partners/wonderfly/

(伊勢剛)