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プロジェクト

2018-06-01 15:25:53

近田春夫×手塚眞「星くず兄弟の伝説」30年の時を経て、あのカルトムービーがよみがえる! デジタル・リマスター版でDVD化

近田春夫×手塚眞「星くず兄弟の伝説」30年の時を経て、あのカルトムービーがよみがえる! デジタル・リマスター版でDVD化

 手塚眞監督の商業映画デビュー作「星くず兄弟の伝説」(1985年)。近田春夫のアルバムを元に作られたロックミュージカルで、ファンの間では今でもカルト的な人気を誇る作品だ。この映画のデジタル・リマスター版をつくってDVDを制作しようと、手塚監督自らクラウドファンディングで支援を募っている。「いまの若い人たちが『面白い』と言ってくれたことに背中を押された」という手塚監督に、「星くず兄弟」への思いを聴いた。


「星くず兄弟の伝説」(1985年)©キネマ旬報DD

「私たちの言葉で言うと、『カルトムービー』。いわゆる超大作で大ヒットする映画ではなくて、小規模でつくって、好きな人たちが見続けるというタイプのもの。ただ『映画好き』というのではなく、『この映画が好き』という人たちの愛が強いんです」

 「星くず兄弟の伝説」は、高木完、久保田慎吾が演じる「スターダスト・ブラザーズ」の物語だ。2人が謎の大手事務所にスカウトされてデビューし、人気絶頂を極めてから落ちぶれるまでを、ポップでカラフルな映像と音楽で描く。要所で美声を披露する尾崎紀世彦をはじめ、戸川京子、ISSAY、サンプラザ中野くん、タモリら80年代を彩った文化人・芸能人が多数出演していたことも注目された。


「星くず兄弟の伝説」(1985年)©キネマ旬報DD

「自分の監督デビュー作でもあるので、思い出の作品なんですけど、作ったときは自分も若すぎて、なんとなくやり足りなかった部分への思いを残してきた作品。ただ、自分では通過点と思っていたので、振り返るということはあまりしなかったですね」

 2018年1月、続編の新作映画「星くず兄弟の新たな伝説」(以下「新たな伝説」)の公開にあわせ、本作もいくつかの映画館でレイトショーなどで上映された。すると、見た人たちから評価する声が相次いだ。手塚監督が驚きとともに喜んだのは、若いファンの存在だった。

「二通りの方がいて、まずは40代以上の熱狂的なファン。『自分の青春時代はここにありました』と言ってくださるような方たちです。もう一つは30代以下の初めて見る若い方たち。この人たちが『非常に新鮮で面白い』と言ってくれました。16年前(2002年)にDVDを出しているんですが、こういう作品は限定生産で決まった数がなくなったら終わり。ネットではプレミアがついてしまっています。それでも見たいと言ってくれるファンがいるなら、もう一度ちゃんと出さなくちゃいけないな、と思いました」


「星くず兄弟の伝説」(1985年)©キネマ旬報DD

 「星くず兄弟の伝説」は現在、35ミリフィルムでしか残っていないため、今回のDVD化にあわせてデジタル・リマスター版をつくることにした。フィルムについてしまったキズやゴミを取り除いたり、色を整えたりするのが主な狙いだが、手塚監督自らが作業をするとあって、それだけにはとどまらなくなりそうだ。

「今の自分が見て、『ここはちょっと』って気にくわない部分を若干直したい気持ちがありますね。だから厳密にいえば同じモノではなくて、2018年バージョンのデジタル・リマスターということになります。あんまり全部直すと昔のファンをがっかりさせてしまうので、直せるところと直せないところがありますけど。驚くほど何回も見ていらっしゃる方がいるから、中には気づく方もいらっしゃるでしょうね」

 最近は外国からも「上映してほしい」との声が届くという。だが、映画館の設備の多くはデジタル向けに切り替わっており、これまではフィルム用の映写機が残っている映画館でしか上映できなかった。デジタル・リマスター版をつくることにより、DVDのみならず、多くの映画館で上映することも可能になる。


「星くず兄弟の伝説」(1985年)©キネマ旬報DD

 なぜ30年以上経った「星くず兄弟」が今でも人々を惹き付けるのだろうか。手塚監督に尋ねると、「音楽」と「スター」というキーワードが返ってきた。

「一つには音楽映画であるということ。音楽を聴きながら映像を見る気持ち良さって習慣化するんだと思うんです。80年代の音楽は、歌詞も曲もすごくユニークなものが多く、いま聴いても新鮮に聞こえるんですね。単純に懐メロを聴いているんじゃなく、リアルタイムに今の音楽と思って聴いていられるグレードがある」

「人々が夢を求めていた時代につくられた映画、主人公たちが夢を求めていく映画なんです。昔は『俺がスターになる』って人が結構いましたけど、いまはスターに憧れる人って少ない。昔の映画でいうと高倉健、石原裕次郎...そういうスターがいない、スターという言葉自体が使われなくなっているスター不在の時代に、『スターを目指す』というのは面白く見えるんだと思うんですよ」

 今回のクラウドファンディングではDVDのクレジットに名前を入れられる権利のほか、「新たな伝説」のDVD版や手塚監督の新作映画に出演できる権利などのリターンを用意している。「新たな伝説」は既に公開した映画だが、DVD向けに新たに撮影し、場面を追加して出演するという異例の形だ。


「星くず兄弟の伝説」(1985年)©キネマ旬報DD

「上から目線で『凄いモノ作ったから見ろ』というんじゃなく、お客さんと同じ目線で『面白い物を一緒に作ろうよ。一緒に参加しようよ』という意識の中で生まれてくるのがインディーズ映画。だからお客さんも映画の中に出てもらってもいい、そういう気持ちでリターンを用意しました」

「このやり方は、僕は自分が作品の編集をして、作品を全部コントロールしているからできるんです。インディペンデントの映画作家は、企画から上映まで、全部やるのが仕事。出発点が学生映画なんですよ。もちろん役割の分担はあるんですけど、編集だけは人に任せられないと思うところはありますね。基本的にはそこが映画作家としての醍醐味だと思っています。撮影があまりうまくいかなくても編集次第でちゃんとした映画ができるし、どんなに凄い俳優を集めて撮っても、編集がダメだと台無しになっちゃうんですよ」

 手塚監督がA-portでクラウドファンディングに挑戦するのは今回が2度目。前回は「新たな伝説」の上映経費を募り、約650万円を集めた。今回も最初の目標額は既に達成し、特典映像やブックレット等資料の充実、「新たな伝説」のDVD化などの資金調達を目指して、さらなる支援を募っている。クラウドファンディングは支援の集まりが記録として残ってしまうため、有名人では二の足を踏む人も多いが、手塚監督は「好きな人が集まれる仕組み」と積極的だ。

「前回応援してくださった方々が本当に熱い、熱狂的な応援隊なんです。プロジェクトが1回限りで終わらずに続いていくことを、彼らもすごく楽しみにしてくれている。その方たちが、さらに応援してくれる人たちを自分たちでも探していこうという気持ちを持ってくださっているので、クラウドファンディングを続けてやっぱり良かったなと思います」


「星くず兄弟の伝説」(1985年)©キネマ旬報DD

 「星くず兄弟の伝説」には80年代のカルチャーが濃厚に表現されているが、手塚監督自身は時代性というものをあまり意識せず、30年後でも100年後でも見られるようにと思って、映画を作ったという。

「日本の映画ではたぶん初めてスタイリストを使った映画。音楽にしてもファッションにしてもどんどん新しいものを入れていこうとやった映画なんです。歌があるという前提から始まっている映画なので、歌の場面は自分で今見ても好きですね。今は映画でもテレビでも字幕が入ったり、セリフで全部説明したり、過剰に説明的になっていますが、昔の映画はどうやってお客さんに想像させるか、凄く狙って演出している。この映画では、歌が映像の説明になっているわけではないし、映像が歌の説明になっているわけでもない。主人公が何をしているというのは直接映像を見て感じてもらって、そこに気持ちのいい歌がついてくるという演出になっています。そこは今の人にも見て楽しんでほしいところですね」

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 クラウドファンディングの支援受付は6月29日まで。詳細は、 https://a-port.asahi.com/projects/hoshikuzudvd 。(伊勢剛)