くじら映画の制作に取り組む佐々木芽生さん。朝日新聞のクラウドファンディングサイト「A-port」で資金を募り始めて2週間となる4月7日、東京都港区で制作キックオフパーティーを開催しました。
集まった約100人に対し監督である佐々木さんは冒頭、「『こんな面倒くさいテーマで映画をとるのか』、といろいろな人に言われた」と振り返りました。しかし、周囲になんと言われようとも、撮影しなければならないという強い気持ちで同テーマに挑んだとのこと。
披露された20分の試写では、国際論争になっている深刻なテーマを、時にユーモアを交えてまとめていました。映画の舞台は和歌山県太地町。クジラやイルカの漁が盛んな小さな町です。食卓にはイルカやクジラの肉の刺し身が並び、地元の祭りではクジラのみこしを子供たちがかけ声をかけながら担ぐ……。日々、クジラやイルカと一体になった歴史がつむぎ出されています。
2010年3月、イルカ漁で湾が真っ赤に染まる様子が描かれた米映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞しました。同作のヒットで、入り江がある小さな漁村は、「タイジ」として、突然、世界に知られることになりました。
約30年の間、ニューヨークに住んでいる佐々木監督は、クジラやイルカを巡って「世界の日本に対する見方」に違和感があったそう。と同時に、日本人の無関心さに対して焦りも感じていました。国際的に議論されている捕鯨問題ですが、捕鯨する立場から描いたドキュメンタリー映画はこれまでありませんでした。こういった理由から、佐々木監督はクルーを引き連れて、太地町に腰を据え、外国人の捕鯨反対派のグループと捕鯨を営む人々に真正面からぶつかっていったのです。
「重いテーマなのにぽろっと笑みがこぼれる映画。コミカルな中に皆の本音がちりばめられている」とは、試写を見た来場者の声(会社員、浜野実さん 43歳)。
クラウドファンディング挑戦は前作『ハーブ&ドロシー2』に続く2回目
実は佐々木監督、今回の「A-port」がクラウドファンディング初挑戦ではないのです。前作『ハーブ & ドロシー2~ふたりからの贈りもの』で、制作費の一部と日本での宣伝配給費をクラウドファンディングで集めました。集まった1,463万円は、当時の日本最高記録となりました。
今回、クラウドファンディング「A-port」でのキックオフパーティーに集まったのは、前作のファンや映画関係者ら。開場すると、フィンガーフードと飲み物片手に20分ほど交流会が開かれました。知らない人同士が『ハーブ&ドロシー』の「ハーブの審美眼には驚かされた」と語ったり、駆けつけた佐々木監督の幼なじみは「めぐみちゃんは小さい頃からとにかくエネルギーの固まりだった」と昔話を披露したり。会場は、温かい雰囲気に包まれました。その後、佐々木監督によるトークが開かれました。
今回のイベント後2日間で、「A-port」での佐々木監督への支援は18人も増えました。こういった顔の見える広報活動も、支援を集める上では大切なのかもしれませんね。是非、皆さん、参考にしてみてください。(未)
※内容の詳細は近日中に、ハフィントンポストに掲載される予定です。
■佐々木監督のプロジェクト
「クジラを巡る世界的論争描く、日本人監督初の本格ドキュメンタリー映画」
詳細は
こちらから。

当日はA-portスタッフもかけつけました。佐々木監督(左から4人目)を囲んで