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2018年08月27日 16時47分
竹部貴博さん(29)がモンゴルで、初めて野球教室を開いたのは2016年の夏。島根県のスキー場で知り合った同国出身の友人の熱心な誘いを受け、遊びに行った。せっかく訪れるのなら現地で何か貢献できることはないかと考え、子どもに野球を教えようと決めた。
首都ウランバートルから車で約1時間半。買いそろえた野球用品を持参して郊外の景勝地を訪れると、友人の手配のもとで、6~20歳の約80人が待っていた。
ルールを知らない、バットやグラブの使い方も分からない。それでもボールを打ったり捕ったりした際の無邪気な笑顔に心を動かされた。
「好きな野球で交流できて最高の経験だった」
教室開催や野球用品の寄付、さらに指導者育成も継続的に進めようと翌17年春、同国で野球を普及させるプロジェクトを立ち上げた。
初年はクラウドファンディングで資金を集め、同国で子どもを教える傍ら、モンゴル青年野球連盟などとも協定も結んだ。今年は自ら企業を回って、スポンサーや支援者集めに奔走。今月末に現地入りする予定だ。
小学2年の時、本格的に野球を始めた。地元・島根県雲南市の三刀屋(みとや)高校3年の夏、島根大会で強豪・開星と対戦した。接戦で遊撃手だった自身のエラーが響き、甲子園を逃した。
悔しい思いが糧となり、高校野球の監督を目指して大学に進学。野球部に所属しながら、スポーツ動作を分析する運動工学を学んだ。その経験が活動の礎になっている。
大相撲のように、モンゴルで野球を人気にするのが夢だ。日本に来たい子どもを招待し、定期的な交流試合も実現させたいと願う。「将来、モンゴル出身の広島カープの選手が生まれたら面白いですよね」(北村浩貴)
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1988年、島根県雲南市出身。広島県内の大学職員で、広島市在住。趣味はゴルフ。プロジェクトへの問い合わせは、Eメール(gs070032@yahoo.co.jp)へ。
(朝日新聞、2018年8月20日)
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