地元のクライミングジムから世界へ 量より質で頂点つかめ
日本スポーツクライミング界の次世代を担う18歳
谷井菜月選手(奈良県出身)は、クライミング世界選手権のリード種目で決勝に進出し、日本人最高の6位に食い込む活躍を見せるなど、スポーツクライミング界の次代を担う18歳のクライマーです。
スポーツクライミングは、安全ロープをつけて高度を競う「リード」、登り切った回数を競う「ボルダリング」、速さを競う「スピード」の3種目からなります。競技との出会いは小学2年生のとき。遊びに行った先でクライミング体験をしたその日に、課題(設定されたコース)をクリアする達成感を味わい、すぐ夢中になりました。以来、毎週末ジムに通うようになり、めきめきと頭角を現します。
2020年の「第8回リードユース日本選手権南砺大会」のユースAカテゴリーで優勝
そして、中学2年生でユース日本代表に選出されるとオーストリアで開催された世界ユース選手権のコンバインド種目(「リード」「ボルダリング」「スピード」の3種目を複合して採点する種目)で優勝。谷井選手自身、経験がなかった優勝という偉業を海外で成し遂げたのです。
「初めての優勝はすごく嬉(うれ)しくて、すごく自信にもなりました。それまではクライミングに対してどこか〝遊び″という感覚もあったのですが、この大会をきっかけに〝競技″として向き合うようになりました」
クライミング一本でやっていく覚悟を決めた
この3月には地元の高校を卒業。「大学には進学せず、クライミング一本でやっていく覚悟を決めました」と、谷井選手。
2021年、出場したクライミングワールドカップ3大会(リード種目)でいずれも上位に食い込み、初めて出場した世界選手権では、世界のトップクライマーと戦い、6位の好成績を残しました。
「いままでで一番大きな舞台での大会だったのですごく緊張しましたが、そこで決勝に残ることができて自信につながりました」。さらに11月の国内トップ選手を集めた大会では、リード種目で優勝。もはやその実力に疑う余地はありません。谷井選手は、ハッキリと次の目標を定めたようです。「2024 年の世界最高峰の大会を目標に頑張っていきたいと考えています。 2022年は、そのためにも国際大会へ出場し、たくさん経験値を上げていきたいです」
谷井選手が得意とする種目は「リード」です。制限時間の6分間で、高さ12m以上の壁に設定されたコースを登ります。「疲れていても力を振り絞り、最後の一手まであきらめない。そういう気持ちの強さは持っていると思います」。メンタルの強さに加え、壁に設置されたホールドとホールドを動いていくムーブの引き出しの豊富さも谷井選手の大きな武器。自由な発想で動く谷井選手のムーブは独特のスタイルをもっています。
日本のトップ選手が揃った2021年の「第34回リードジャパンカップ」では4位©ICHIRO Tsugane
地元の期待にこたえるために、もっと強くなりたい
生まれも育ちも奈良県橿原市(かしはらし)。海外での試合や、国内でも地元を離れての試合が多い谷井選手ですが、橿原へ帰ってくると近所の方々が「テレビで見たよ」と声を掛けてくれたり、学生時代は同級生たちが欠席中のノートを貸してくれたりと、地元の人たちや友達の温かさを感じながらクライミングを頑張る谷井選手が、地元アスリートを支援する明治安田生命の「地元アスリート応援プログラム」に共感を寄せたのは自然なことでした。
制度を知ったきっかけは、橿原市の市長を表敬訪問したときのこと。「そのときいらっしゃった市役所の方が『地元アスリート応援プログラム』を紹介してくださったんです。お母さんと一緒に制度を詳しく調べて、『スポーツには、人を〝元気にする力″〝集める力″〝結びつける力″がある』という考え方に惹(ひ)かれて応募しました」
それは、谷井選手がクライミングという競技を通じて、まさに実感していることでした。「英語は得意ではないのですが、クライミングをやっているおかげで、海外の選手とも言葉を使わずに、結びつきを感じた経験があります。試合を見に大勢の人が集まり、難しい課題に挑む選手を一丸となって応援するのもクライミングのいいところです。私は、地元の奈良の方にワクワクしてもらえる活躍をすることで、奈良を元気にできたら嬉しいと思っています」
地元や企業など、様々な支援を糧に、世界へと挑んでいきます。
©ICHIRO Tsugane
自然豊かな土地で、活力が生まれる
橿原は、かつては大和朝廷時代の中心地で、藤原宮跡をはじめ歴史が息づき、美しい自然に溢(あふ)れた土地です。季節ごとに、お気に入りの花の名所がそれぞれあり、谷井選手は自然に癒やされることが気分転換になっています。
クライミングで世界を舞台に活躍する谷井選手は、国内外の大会への出場や合宿、遠征と、家を離れる機会も多く、地元に戻ってきたときに感じるのんびりした空気にほっとするそう。そして、頑張った谷井選手を温かく迎えてくれるのが、お母さんの手料理です。
「遠征のときは、お母さんが作ってくれるご飯がすごく恋しくなります。どれもおいしくて、好きなメニューはひとつに決められませんけど、試合が終わると、『ああ、早く食べたいな』っていつも思っています(笑)」
橿原の肥沃(ひよく)な土地が育む野菜も大好物。特に自宅でおばあちゃんが作っている様々な野菜や果物が、パワーの源にもなっています。「家の横の畑で、農薬を使わない野菜を作っているんです。コロナ禍で学校が休校になったときは収穫の手伝いもしていました! 旬の採れたてを食べられるのが幸せですね。特に海外に行った後は、すごく食べたくなります」
また、クライミングに出合い、いまも拠点にしているジムがあることも、谷井選手が地元を愛する大きな理由です。
「特にコロナ禍によって、他の地域に遠征して練習することが難しくなり、ホームジムが地元にあるありがたさを実感しています。自宅から車で30分ほどのところにあり、送り迎えをしてくれる両親にも感謝しています。ずっと大切に育ててくれたこのジムに愛着がありますし、選手のことを第一に考えてくれるコーチの存在が本当に大きいです。これからも、変わらずいまのジムをホームにしてクライミングを続けていきます」
照準は夢舞台の出場権、21年よりももっといい成績を残していきたい
21年の好成績を糧に、2年後の夢舞台へと照準を定めた谷井選手。地元のジムから世界へと羽ばたくため、今後はどんな練習をしていくのかと聞くと、「自分は普段から練習の“量”より“質”を大切にしていて、1回1回集中して、休みも大切にしています。ただやみくもに練習するのではなく、オーバーワークにならないメニューを、コーチと相談しながら考えています」と、まだ10代とは思えないほどの冷静な答えが返ってきました。確かにクライミング競技のなかでもリード種目は、一度のクライミングにおける体力の消耗が非常に激しい競技です。それだけに1回の練習に集中して取り組む。谷井選手の本番でのメンタルの強さや創造性は、こうした練習の質へのこだわりがあってこそと言えそうです。
クライミングのトレーニングでは、経験を積むために、県外のクライミングジムへの遠征や、もちろん海外への遠征も必要になってきます。前回のプログラムで集まった支援金は、「様々な課題に対応するため、関西や関東など、いろいろなジムに遠征に行くんですけど、その遠征費に充てさせていただいたり、海外遠征の時の費用に充てさせていただきました」と谷井選手。また、24年の大会でのクライミング競技は、リードとボルダリングの複合(コンバインド)競技となることが決まっており、ボルダリングでも実力を高めていかなくてはなりませんから、そうした大会への出場やトレーニングも必要となってきます。今後の飛躍のためにも、大きな支援があればあるほど、谷井選手の力となることは間違いありません。
「史上初のワールドカップ全勝優勝をしたスロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手に憧れているのですが、いつかはガンブレット選手を超えるくらい強くなって、世界の人たちが注目する舞台で活躍したいです。 21 年のクラウドファンディングを通じて、多くの方々にご支援を頂きとても感謝しています。ご期待にお応えできるよう、精いっぱい努力していきますので、今後のご支援も、どうぞよろしくお願いいたします」
(取材・制作:4years.編集部)
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地元のクライミングジムから世界へ 量より質で頂点つかめ 日本スポーツクライミング界の次世代を担う18歳 谷井菜月選手(奈良県出身)は、クライミング世界選手権のリード種目で決勝に進出し、日本人最高の6位に食い込む活躍を見せるなど、スポーツクライミング界の次代を担う18歳のクライマーです。 スポーツクライミングは、安全ロープをつけて高度を競う「リード」、登り切った回数を競う「ボルダリング」、速さを競う「スピード」の3種目からなります。競技との出会いは小学2年生のとき。遊びに行った先でクライミング体験をしたその日に、課題(設定されたコース)をクリアする達成感を味わい、すぐ夢中になりました。以来、毎週末ジムに通うようになり、めきめきと頭角を現します。 2020年の「第8回リードユース日本選手権南砺大会」のユースAカテゴリーで優勝 そして、中学2年生でユース日本代表に選出されるとオーストリアで開催された世界ユース選手権のコンバインド種目(「リード」「ボルダリング」「スピード」の3種目を複合して採点する種目)で優勝。谷井選手自身、経験がなかった優勝という偉業を海外で成し遂げたのです。 「初めての優勝はすごく嬉(うれ)しくて、すごく自信にもなりました。それまではクライミングに対してどこか〝遊び″という感覚もあったのですが、この大会をきっかけに〝競技″として向き合うようになりました」 クライミング一本でやっていく覚悟を決めた この3月には地元の高校を卒業。「大学には進学せず、クライミング一本でやっていく覚悟を決めました」と、谷井選手。 2021年、出場したクライミングワールドカップ3大会(リード種目)でいずれも上位に食い込み、初めて出場した世界選手権では、世界のトップクライマーと戦い、6位の好成績を残しました。 「いままでで一番大きな舞台での大会だったのですごく緊張しましたが、そこで決勝に残ることができて自信につながりました」。さらに11月の国内トップ選手を集めた大会では、リード種目で優勝。もはやその実力に疑う余地はありません。谷井選手は、ハッキリと次の目標を定めたようです。「2024 年の世界最高峰の大会を目標に頑張っていきたいと考えています。 2022年は、そのためにも国際大会へ出場し、たくさん経験値を上げていきたいです」 谷井選手が得意とする種目は「リード」です。制限時間の6分間で、高さ12m以上の壁に設定されたコースを登ります。「疲れていても力を振り絞り、最後の一手まであきらめない。そういう気持ちの強さは持っていると思います」。メンタルの強さに加え、壁に設置されたホールドとホールドを動いていくムーブの引き出しの豊富さも谷井選手の大きな武器。自由な発想で動く谷井選手のムーブは独特のスタイルをもっています。 日本のトップ選手が揃った2021年の「第34回リードジャパンカップ」では4位©ICHIRO Tsugane 地元の期待にこたえるために、もっと強くなりたい 生まれも育ちも奈良県橿原市(かしはらし)。海外での試合や、国内でも地元を離れての試合が多い谷井選手ですが、橿原へ帰ってくると近所の方々が「テレビで見たよ」と声を掛けてくれたり、学生時代は同級生たちが欠席中のノートを貸してくれたりと、地元の人たちや友達の温かさを感じながらクライミングを頑張る谷井選手が、地元アスリートを支援する明治安田生命の「地元アスリート応援プログラム」に共感を寄せたのは自然なことでした。 制度を知ったきっかけは、橿原市の市長を表敬訪問したときのこと。「そのときいらっしゃった市役所の方が『地元アスリート応援プログラム』を紹介してくださったんです。お母さんと一緒に制度を詳しく調べて、『スポーツには、人を〝元気にする力″〝集める力″〝結びつける力″がある』という考え方に惹(ひ)かれて応募しました」 それは、谷井選手がクライミングという競技を通じて、まさに実感していることでした。「英語は得意ではないのですが、クライミングをやっているおかげで、海外の選手とも言葉を使わずに、結びつきを感じた経験があります。試合を見に大勢の人が集まり、難しい課題に挑む選手を一丸となって応援するのもクライミングのいいところです。私は、地元の奈良の方にワクワクしてもらえる活躍をすることで、奈良を元気にできたら嬉しいと思っています」 地元や企業など、様々な支援を糧に、世界へと挑んでいきます。 ©ICHIRO Tsugane 自然豊かな土地で、活力が生まれる 橿原は、かつては大和朝廷時代の中心地で、藤原宮跡をはじめ歴史が息づき、美しい自然に溢(あふ)れた土地です。季節ごとに、お気に入りの花の名所がそれぞれあり、谷井選手は自然に癒やされることが気分転換になっています。 クライミングで世界を舞台に活躍する谷井選手は、国内外の大会への出場や合宿、遠征と、家を離れる機会も多く、地元に戻ってきたときに感じるのんびりした空気にほっとするそう。そして、頑張った谷井選手を温かく迎えてくれるのが、お母さんの手料理です。 「遠征のときは、お母さんが作ってくれるご飯がすごく恋しくなります。どれもおいしくて、好きなメニューはひとつに決められませんけど、試合が終わると、『ああ、早く食べたいな』っていつも思っています(笑)」 橿原の肥沃(ひよく)な土地が育む野菜も大好物。特に自宅でおばあちゃんが作っている様々な野菜や果物が、パワーの源にもなっています。「家の横の畑で、農薬を使わない野菜を作っているんです。コロナ禍で学校が休校になったときは収穫の手伝いもしていました! 旬の採れたてを食べられるのが幸せですね。特に海外に行った後は、すごく食べたくなります」 また、クライミングに出合い、いまも拠点にしているジムがあることも、谷井選手が地元を愛する大きな理由です。 「特にコロナ禍によって、他の地域に遠征して練習することが難しくなり、ホームジムが地元にあるありがたさを実感しています。自宅から車で30分ほどのところにあり、送り迎えをしてくれる両親にも感謝しています。ずっと大切に育ててくれたこのジムに愛着がありますし、選手のことを第一に考えてくれるコーチの存在が本当に大きいです。これからも、変わらずいまのジムをホームにしてクライミングを続けていきます」 照準は夢舞台の出場権、21年よりももっといい成績を残していきたい 21年の好成績を糧に、2年後の夢舞台へと照準を定めた谷井選手。地元のジムから世界へと羽ばたくため、今後はどんな練習をしていくのかと聞くと、「自分は普段から練習の“量”より“質”を大切にしていて、1回1回集中して、休みも大切にしています。ただやみくもに練習するのではなく、オーバーワークにならないメニューを、コーチと相談しながら考えています」と、まだ10代とは思えないほどの冷静な答えが返ってきました。確かにクライミング競技のなかでもリード種目は、一度のクライミングにおける体力の消耗が非常に激しい競技です。それだけに1回の練習に集中して取り組む。谷井選手の本番でのメンタルの強さや創造性は、こうした練習の質へのこだわりがあってこそと言えそうです。 クライミングのトレーニングでは、経験を積むために、県外のクライミングジムへの遠征や、もちろん海外への遠征も必要になってきます。前回のプログラムで集まった支援金は、「様々な課題に対応するため、関西や関東など、いろいろなジムに遠征に行くんですけど、その遠征費に充てさせていただいたり、海外遠征の時の費用に充てさせていただきました」と谷井選手。また、24年の大会でのクライミング競技は、リードとボルダリングの複合(コンバインド)競技となることが決まっており、ボルダリングでも実力を高めていかなくてはなりませんから、そうした大会への出場やトレーニングも必要となってきます。今後の飛躍のためにも、大きな支援があればあるほど、谷井選手の力となることは間違いありません。 「史上初のワールドカップ全勝優勝をしたスロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手に憧れているのですが、いつかはガンブレット選手を超えるくらい強くなって、世界の人たちが注目する舞台で活躍したいです。 21 年のクラウドファンディングを通じて、多くの方々にご支援を頂きとても感謝しています。ご期待にお応えできるよう、精いっぱい努力していきますので、今後のご支援も、どうぞよろしくお願いいたします」 (取材・制作:4years.編集部)
地元のクライミングジムから世界へ 量より質で頂点つかめ
日本スポーツクライミング界の次世代を担う18歳
谷井菜月選手(奈良県出身)は、クライミング世界選手権のリード種目で決勝に進出し、日本人最高の6位に食い込む活躍を見せるなど、スポーツクライミング界の次代を担う18歳のクライマーです。
スポーツクライミングは、安全ロープをつけて高度を競う「リード」、登り切った回数を競う「ボルダリング」、速さを競う「スピード」の3種目からなります。競技との出会いは小学2年生のとき。遊びに行った先でクライミング体験をしたその日に、課題(設定されたコース)をクリアする達成感を味わい、すぐ夢中になりました。以来、毎週末ジムに通うようになり、めきめきと頭角を現します。
2020年の「第8回リードユース日本選手権南砺大会」のユースAカテゴリーで優勝
そして、中学2年生でユース日本代表に選出されるとオーストリアで開催された世界ユース選手権のコンバインド種目(「リード」「ボルダリング」「スピード」の3種目を複合して採点する種目)で優勝。谷井選手自身、経験がなかった優勝という偉業を海外で成し遂げたのです。
「初めての優勝はすごく嬉(うれ)しくて、すごく自信にもなりました。それまではクライミングに対してどこか〝遊び″という感覚もあったのですが、この大会をきっかけに〝競技″として向き合うようになりました」
クライミング一本でやっていく覚悟を決めた
この3月には地元の高校を卒業。「大学には進学せず、クライミング一本でやっていく覚悟を決めました」と、谷井選手。
2021年、出場したクライミングワールドカップ3大会(リード種目)でいずれも上位に食い込み、初めて出場した世界選手権では、世界のトップクライマーと戦い、6位の好成績を残しました。
「いままでで一番大きな舞台での大会だったのですごく緊張しましたが、そこで決勝に残ることができて自信につながりました」。さらに11月の国内トップ選手を集めた大会では、リード種目で優勝。もはやその実力に疑う余地はありません。谷井選手は、ハッキリと次の目標を定めたようです。「2024 年の世界最高峰の大会を目標に頑張っていきたいと考えています。 2022年は、そのためにも国際大会へ出場し、たくさん経験値を上げていきたいです」
谷井選手が得意とする種目は「リード」です。制限時間の6分間で、高さ12m以上の壁に設定されたコースを登ります。「疲れていても力を振り絞り、最後の一手まであきらめない。そういう気持ちの強さは持っていると思います」。メンタルの強さに加え、壁に設置されたホールドとホールドを動いていくムーブの引き出しの豊富さも谷井選手の大きな武器。自由な発想で動く谷井選手のムーブは独特のスタイルをもっています。
日本のトップ選手が揃った2021年の「第34回リードジャパンカップ」では4位©ICHIRO Tsugane
地元の期待にこたえるために、もっと強くなりたい
生まれも育ちも奈良県橿原市(かしはらし)。海外での試合や、国内でも地元を離れての試合が多い谷井選手ですが、橿原へ帰ってくると近所の方々が「テレビで見たよ」と声を掛けてくれたり、学生時代は同級生たちが欠席中のノートを貸してくれたりと、地元の人たちや友達の温かさを感じながらクライミングを頑張る谷井選手が、地元アスリートを支援する明治安田生命の「地元アスリート応援プログラム」に共感を寄せたのは自然なことでした。
制度を知ったきっかけは、橿原市の市長を表敬訪問したときのこと。「そのときいらっしゃった市役所の方が『地元アスリート応援プログラム』を紹介してくださったんです。お母さんと一緒に制度を詳しく調べて、『スポーツには、人を〝元気にする力″〝集める力″〝結びつける力″がある』という考え方に惹(ひ)かれて応募しました」
それは、谷井選手がクライミングという競技を通じて、まさに実感していることでした。「英語は得意ではないのですが、クライミングをやっているおかげで、海外の選手とも言葉を使わずに、結びつきを感じた経験があります。試合を見に大勢の人が集まり、難しい課題に挑む選手を一丸となって応援するのもクライミングのいいところです。私は、地元の奈良の方にワクワクしてもらえる活躍をすることで、奈良を元気にできたら嬉しいと思っています」
地元や企業など、様々な支援を糧に、世界へと挑んでいきます。
©ICHIRO Tsugane
自然豊かな土地で、活力が生まれる
橿原は、かつては大和朝廷時代の中心地で、藤原宮跡をはじめ歴史が息づき、美しい自然に溢(あふ)れた土地です。季節ごとに、お気に入りの花の名所がそれぞれあり、谷井選手は自然に癒やされることが気分転換になっています。
クライミングで世界を舞台に活躍する谷井選手は、国内外の大会への出場や合宿、遠征と、家を離れる機会も多く、地元に戻ってきたときに感じるのんびりした空気にほっとするそう。そして、頑張った谷井選手を温かく迎えてくれるのが、お母さんの手料理です。
「遠征のときは、お母さんが作ってくれるご飯がすごく恋しくなります。どれもおいしくて、好きなメニューはひとつに決められませんけど、試合が終わると、『ああ、早く食べたいな』っていつも思っています(笑)」
橿原の肥沃(ひよく)な土地が育む野菜も大好物。特に自宅でおばあちゃんが作っている様々な野菜や果物が、パワーの源にもなっています。「家の横の畑で、農薬を使わない野菜を作っているんです。コロナ禍で学校が休校になったときは収穫の手伝いもしていました! 旬の採れたてを食べられるのが幸せですね。特に海外に行った後は、すごく食べたくなります」
また、クライミングに出合い、いまも拠点にしているジムがあることも、谷井選手が地元を愛する大きな理由です。
「特にコロナ禍によって、他の地域に遠征して練習することが難しくなり、ホームジムが地元にあるありがたさを実感しています。自宅から車で30分ほどのところにあり、送り迎えをしてくれる両親にも感謝しています。ずっと大切に育ててくれたこのジムに愛着がありますし、選手のことを第一に考えてくれるコーチの存在が本当に大きいです。これからも、変わらずいまのジムをホームにしてクライミングを続けていきます」
照準は夢舞台の出場権、21年よりももっといい成績を残していきたい
21年の好成績を糧に、2年後の夢舞台へと照準を定めた谷井選手。地元のジムから世界へと羽ばたくため、今後はどんな練習をしていくのかと聞くと、「自分は普段から練習の“量”より“質”を大切にしていて、1回1回集中して、休みも大切にしています。ただやみくもに練習するのではなく、オーバーワークにならないメニューを、コーチと相談しながら考えています」と、まだ10代とは思えないほどの冷静な答えが返ってきました。確かにクライミング競技のなかでもリード種目は、一度のクライミングにおける体力の消耗が非常に激しい競技です。それだけに1回の練習に集中して取り組む。谷井選手の本番でのメンタルの強さや創造性は、こうした練習の質へのこだわりがあってこそと言えそうです。
クライミングのトレーニングでは、経験を積むために、県外のクライミングジムへの遠征や、もちろん海外への遠征も必要になってきます。前回のプログラムで集まった支援金は、「様々な課題に対応するため、関西や関東など、いろいろなジムに遠征に行くんですけど、その遠征費に充てさせていただいたり、海外遠征の時の費用に充てさせていただきました」と谷井選手。また、24年の大会でのクライミング競技は、リードとボルダリングの複合(コンバインド)競技となることが決まっており、ボルダリングでも実力を高めていかなくてはなりませんから、そうした大会への出場やトレーニングも必要となってきます。今後の飛躍のためにも、大きな支援があればあるほど、谷井選手の力となることは間違いありません。
「史上初のワールドカップ全勝優勝をしたスロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手に憧れているのですが、いつかはガンブレット選手を超えるくらい強くなって、世界の人たちが注目する舞台で活躍したいです。 21 年のクラウドファンディングを通じて、多くの方々にご支援を頂きとても感謝しています。ご期待にお応えできるよう、精いっぱい努力していきますので、今後のご支援も、どうぞよろしくお願いいたします」
(取材・制作:4years.編集部)
支援期間終了
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最新のプロジェクト情報をお届けします。
支援者
27人
残り期間
0日
集まっている金額
249,500円
目標金額:500,000円
達成率49%
2023年02月28日23:59に終了しました。
支援期間終了
起案者
谷井菜月(明治安田生命・地元アスリート応援プログラム2022)
当制度を通じて、出身地や活動拠点地域など、サポートを受ける「地元」に対して貢献したいというアスリートの活動を支援します。
1,000円
お礼のメール
リターン
感謝の気持ちを込めて、お礼のメールをお送りします。
支援者の数 17人
支援期間終了
5,000円
お礼のお手紙+YELLS(支援アスリートの当該ブロック)
リターン
感謝の気持ちを込めて、お礼のお手紙、YELLS(支援アスリートの当該ブロック)をお送りします。
※「YELLS」は、地元アスリート応援プログラムに参加するアスリートに関する情報を、全国6ブロックごとにまとめた小冊子です。
支援者の数 4人
お届け予定:2023年4月
支援期間終了
10,000円
サイン色紙+お礼のお手紙+YELLS(支援アスリートの当該ブロック)
リターン
感謝の気持ちを込めて、選手直筆のサイン色紙とお礼のお手紙、YELLS(支援アスリートの当該ブロック)をお送りします。
※「YELLS」は、地元アスリート応援プログラムに参加するアスリートに関する情報を、全国6ブロックごとにまとめた小冊子です。
支援者の数 6人
お届け予定:2023年4月
支援期間終了
20,000円
サイン色紙+お礼のお手紙+オリジナルステッカー+YELLS(全ブロック)
リターン
感謝の気持ちを込めて、選手直筆のサイン色紙とお礼のお手紙、プロジェクトのオリジナルステッカー、YELLS(全ブロック)をお送りします。
※「YELLS」は、地元アスリート応援プログラムに参加するアスリートに関する情報を、全国6ブロックごとにまとめた小冊子です。
支援者の数 0人
お届け予定:2023年4月
支援期間終了