沖縄の戦没者の遺骨収集と、遺族への遺留品及び当時の手紙を返還する活動

大学生の所感③:高木乃梨子

  • Vol.10
  • 2018年10月24日 19時27分

【遺骨と手紙が語る戦争】

大学4年の高木乃梨子です。今日は私の所感の投稿です
私は2016年度の春から約1年半、遺骨収集と手紙返還活動に参加しています。
今回、私が初めて遺骨収集に参加をし、遺骨や伊東大隊長の手紙を目にした時の所感について綴りたいと思います。

私には聞かれると複雑な気持ちになる質問があります。

「沖縄出身者でもない、親族に戦争に行った人がいるわけでもない。なぜ高木さんはこの活動を始めたのですか?」

こうした質問は、唯一の被爆国であり、また無謀な戦争を起こした日本の「平和」への考えや活動が、まだまだ多くの人々に浸透していない事を示唆している気がします。

私も、当初は平和について考える事は全くといって良いほどありませんでした。

<戦争を知り、平和について考えるようになったきっかけ>

高校2年生の時、沖縄の平和祈念資料館に行った時、初めて沖縄戦の実態を知りました。

教科書では、多くの人の命を奪った戦争を「歴史」として教えられます。

『沖縄では約20万人亡くなった』

私にとって、こうした記述は暗記すべき数字の羅列に過ぎませんでした。

それが、資料館の映像や遺留品に出会って、初めて戦争を実感したのです。

その実態に、「人間の尊厳がこれほど破壊されることが二度と繰り返されないために、自分が出来ることをしたい」と考えている時、「みらボラ事務局」を務める浜田夫妻と出会いました。


<大学入学後、遺骨収集ボランティアを開始>

2016年の春、沖縄本島南部の糸満市で、初めて遺骨収集を実施しました。

壕(ガマ)の中の地面を1時間も掘らないうちに、次々と遺骨や遺留品が露わに。

最初に、小石だと思って拾い上げたものが、なんと人の骨だったのです。

唖然としました。

バラバラに砕け散った状況を見て、浜田さんは「爆弾を投げ込まれて、粉々になったんだね」と一言。

そして、真っ暗に炭化した骨。

「米軍はガマの中に火炎を放射したり、ガソリンを流し込んで火をつけたりしたんだよ」

浜田さんは、いつもより低い声でした。

「馬乗り攻撃」といって、洞窟内に閉じ込めた兵士や民間人らを焼き殺したそうです。

なんて無残な死に方なんでしょう。
歴史というのは、終わった過去を学ぶものと考えていましたが、ここには73年前の戦争で亡くなった方々の姿がそのまま残っていました。

骨が語る人の命の最期は、ただただ衝撃的でした。

その衝撃が、違う感情に変わったのは、伊東孝一大隊長との出会いでした。

<初めて読んだ戦後の手紙>

遺骨収集に参加した後、大隊長とご遺族がやりとりされた手紙を読みました。

「夫は本当に死んだのでしょうか」

家族の戦死を告げられても、受け入れられない遺族の悲痛な叫びが聞こえてくるようでした。

そして手紙に同封されていた戦没者の写真。

その姿や名前を見たとき、沖縄のガマの中に散らばる遺骨が思い浮かびました。

私が拾った骨は、誰の大切な人だったのだろうか。

あの遺留品は、誰かの愛する人のものだったんだなぁ。

衝撃は一瞬にして、悲しみに変わりました。

家族の元に帰れなかった兵士、それを迎える事が出来なかった家族。

お互いにどんな思いだったのだろうか…

遺骨と手紙は、私に思いも及ばなかった戦争の姿を想像させました。

<活動に対する思い>

人間の尊厳を奪われたような死に方をした方々は「お国のために」出征したけれど、戦争が終わった後も誰にも見つけられず、暗いくらいガマや土の中に73年間も眠っています。

家族の元にも帰れなかった遺骨をちゃんと掘り出してあげたい。

手紙に書いてある戦没者の子どもたちは今、どうしているのでしょう、手紙を書いた人は戦後、どのように暮らしたのか、手紙を届けた時に話を聞いてみたい。

そんな思いで、活動へ注力するようになりました。

アジア・太平洋戦争における日本の戦没者数は、約310万人と言われています。

その310万人に家族がいたはずです。

教科書の上の数字だけでは、私たちに差し迫ってくる臨場感はありません。
事実ではあるけど、その真実を訴えてくる教えには、ほど遠いように感じます。

なぜ、戦争になったのか。
日本人はどんな被害を受け、また、どんな加害を行なったのか。

事実を積み重ねることで導かれる真実を知ることで、正しい歴史認識を身につけ、二度と悲惨な戦争を引き起こさない決意が大切だと考えています。

伊東大隊長と遺族がやりとりされた手紙の内容は、戦争が生み出した真実のひとつとして世に伝えるべき事だと考えています。

過去にあった戦争の事実から学ぶことを積み重ね、平和な暮らしを守り続けたいです。

より多くの皆さまに遺骨収集の事、手紙の事、遺族が語る戦争の事を伝えるため、活動に励んでまいります。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

  • 支援者

    129

  • 残り期間

    0

  • 集まっている金額

    1,700,000

    (達成) 目標金額:1,200,000

  • 達成率141%

    FUNDED!

2019年01月28日23:59に終了しました。

支援期間終了

起案者

実行者イメージ

みらいを紡ぐボランティア

私たちの会は、アジア・太平洋戦争で戦没さ ... れた兵士や民間人の遺骨を探し出して慰霊すると共に、遺留品などの持ち主を特定して、ご遺族へ返還する活動を実施する団体です。戦争による悲劇を二度と繰り返さないために、戦争体験者から聞き取った当時の様子や個人の心情を、調査、記録することで、若者たちに「歴史の事実」を継承する取り組みも続けています。
 また、過疎による人口の減少に苦しむ地域で、都会の若者が地方の高齢者や子供たちと交流しながら、地域おこしや環境保全、伝統芸能の継承に繋げて行く試みも行っています。活動の主体は、首都圏や関西圏などの大学に通う学生たちが担っています。
  • 1,000

    お礼のメッセージ

    リターン

      ●遺族の方々、伊東大隊長、学生達からのお礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信

    支援者の数 21

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

  • 残り177枚

    3,000

    お礼メッセージと琉球ガラスをあしらったブックマーク

    リターン

      ●お礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信
      ●琉球ガラスをあしらったブックマーク1点
      琉球ガラスの破片を大学生や過疎地域の子供たちがデザインを考えて製作した、手作りの品です。
      ガラスの色は30種類程あり、大きさやデザインも1つとして同じものはございません。
      お選び頂けませんのでご了承ください。

    支援者の数 23

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

  • 残り63枚

    5,000

    お礼メッセージ、琉球ガラスをあしらったブックマークとアクセサリー

    リターン

      ●お礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信
      ●琉球ガラスをあしらったブックマーク1点
      琉球ガラスの破片を大学生や過疎地域の子供たちがデザインを考えて製作した、手作りの品です。
      ガラスの色は30種類あり、大きさやデザインも1つとして同じものはございません。
      お選び頂けませんのでご了承ください。
      ●琉球ガラスをあしらったアクセサリー1点
      ブローチ、ストラップ、ヘアゴム、ネクタイピンから1点、ご希望をコメント欄へお書きください。記載なき場合はこちらで選びます。ガラスの色や大きさ、デザインはお選び頂けません。

    支援者の数 37

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

  • 残り19枚

    10,000

    お礼メッセージ、琉球ガラスをあしらったブックマーク、ノベルティグッズ

    リターン

      ●お礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信
      ●琉球ガラスをあしらったブックマーク1点
      琉球ガラスの破片を大学生や過疎地域の子供たちがデザインを考えて製作した、手作りの品です。
      ガラスの色は30種類程、大きさ、デザインも1つとして同じものはございません。お選び頂く事は出来ませんのでご了承ください。
      ●みらいを紡ぐボランティアのノベルティグッズ・Tシャツ1点
      現在製作中です。
      色は「赤・紺・黒・黄」から選べます。サイズもSから3L以上までお作り出来ますので、お好みのものをコメント欄へご記載ください。記載なき場合はこちらで選びます。
      ※前面には、みらいを紡ぐボランティアロゴ(カラーではなく白抜きでプリント)を、後面には雛の写真をプリントします。
      製造業者の都合で、デザインに多少の変更がある場合もございます。ご了承ください。

    支援者の数 31

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

  • 残り3枚

    25,000

    お礼メッセージ、ブックマーク、伊東孝一著「沖縄陸戦の命運」

    リターン

      ●お礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信
      ●琉球ガラスをあしらったブックマーク1点
      琉球ガラスの破片を大学生や過疎地域の子供たちがデザインを考えて製作した、手作りの品です。
      ガラスの色は30種類程、大きさ、デザインも1つとして同じものはございません。お選び頂く事は出来ませんのでご了承ください。
      ●伊東孝一さんが出版された「沖縄陸戦の命運」のコピー製本版1冊

    支援者の数 17

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

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