沖縄の戦没者の遺骨収集と、遺族への遺留品及び当時の手紙を返還する活動

大学生の所感④:梅原紅音

  • Vol.11
  • 2018年10月24日 19時36分

こんにちは、中央大学2年の梅原紅音(うめはら あかね)と申します。

私は中学、高校を沖縄で過ごしたことがあり、沖縄戦は自分にとって身近なもので、見過ごせないことです。
今年のゴールデンウィークから活動に参加していますが、8月の北海道での手紙返還は自分の人生の中で最大の衝撃でした。なかでも、沖縄本島南部の糸満市で戦没された、佐々木高喜さんの万年筆をご遺族へお返しできた件は、特筆すべきことになりました。
その報告と感想をお伝えいたします。

あの衝撃的な体験から、はや二か月が過ぎ去ろうとしています。が、時の移ろいとは関係なく、私たちに対峙された佐々木家のご遺族の表情が極めて印象的だったことを、今でも鮮明に覚えています。

高喜さんの万年筆をお渡しする時、72年前に宛先不明で返却された手紙をお渡しする時、開封される時、手紙を読まれている時、私たちが戦況報告をしている時‥。 戦没者の甥にあたる幸雄さんが、目を真っ赤にして、こちらをずっと見つめられていました。そのお顔が、今でも脳裏に焼き付いているのです。

この返還の最中、私には涙が堪えられなくなる瞬間がありました。それは大隊長が、ご遺族に出された手紙の一部を読みあげている時のことです。手紙の内容は、戦死された状況や、戦死現認証明書以外の記述は、どのご遺族のものも同じ。何度も目を通していたので、その場にいた仲間からも、「なぜ、今、号泣するの?」と、訝しがられました。率直にいえば、72年簡、届くことのなかった手紙がご遺族の手によって開封された時、「高喜さんの帰りを待ち続けた方々に本当の戦死報告ができた」と、感極まったからです。

そして、手紙を読んでいる時、私は不思議な感覚と想像に苛まれました。それは72年間ずっと封が開けられなかった手紙の中から、過去の情景が蘇って来るように感じたのです。

当時の劣悪な環境と、勝てる見込みがない戦場。その鬱蒼と繁るジャングルの中で、一人でも多くの敵を倒そうと駆け回る高喜さん。戦友が毎日、死んでいく中、この万年筆だけでも故郷に帰したいという一心で、暗い壕の中で自らの名を懸命に刻む姿が、目の前に浮かび上がってきました。

沖縄のジャングルや気候を肌で感じたことのある私にとって、タイムスリップして自分もその場にいるような感覚に襲われたのです。

頭に浮かんだ遣る瀬無い情景から、ふと我に帰った時、ご遺族の手に固く握りしめられている、くだんの万年筆が目に入りました。「あー、高喜さん、お帰りなさい。やっと、やっと、大切な親族の元へ、戻って来ることができたのですね」。

鉄の暴風が吹き荒れた73年前の地獄から、戦没者が帰郷した瞬間を目の当たりにできたことが胸中に溢れ、もう涙が止まりません。二の句を告げられないほど、泣きじゃくってしまったのです。

今回は、一つひとつのファクトを積み上げながら、ご遺族へ到達できました。その途中、様々な形で支援して下さった協力者の方々がいなければ、ここまでたどり着くことは出来なかったと思っています。もしかしたら、万年筆に込められた高喜さんの想いが導いてくれたのかもしれません。私には、そう思えてならないのです。

戦争はこの世の中に必要のないものです。負の遺産しか生みません。手紙をお返しできたご遺族も、戦後、貧困と家族を失った喪失感に苦しめられたそうです。そして、新たなご遺族の手紙に目を通すたびに、戦没者たちの「二度と戦争を引き起こしてはならない」という叫びが私の心に響きわたります。これを胸にとめて、できることを精一杯、続けて行きたいです。

  • 支援者

    129

  • 残り期間

    0

  • 集まっている金額

    1,700,000

    (達成) 目標金額:1,200,000

  • 達成率141%

    FUNDED!

2019年01月28日23:59に終了しました。

支援期間終了

起案者

実行者イメージ

みらいを紡ぐボランティア

私たちの会は、アジア・太平洋戦争で戦没さ ... れた兵士や民間人の遺骨を探し出して慰霊すると共に、遺留品などの持ち主を特定して、ご遺族へ返還する活動を実施する団体です。戦争による悲劇を二度と繰り返さないために、戦争体験者から聞き取った当時の様子や個人の心情を、調査、記録することで、若者たちに「歴史の事実」を継承する取り組みも続けています。
 また、過疎による人口の減少に苦しむ地域で、都会の若者が地方の高齢者や子供たちと交流しながら、地域おこしや環境保全、伝統芸能の継承に繋げて行く試みも行っています。活動の主体は、首都圏や関西圏などの大学に通う学生たちが担っています。
  • 1,000

    お礼のメッセージ

    リターン

      ●遺族の方々、伊東大隊長、学生達からのお礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信

    支援者の数 21

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

  • 残り177枚

    3,000

    お礼メッセージと琉球ガラスをあしらったブックマーク

    リターン

      ●お礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信
      ●琉球ガラスをあしらったブックマーク1点
      琉球ガラスの破片を大学生や過疎地域の子供たちがデザインを考えて製作した、手作りの品です。
      ガラスの色は30種類程あり、大きさやデザインも1つとして同じものはございません。
      お選び頂けませんのでご了承ください。

    支援者の数 23

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

  • 残り63枚

    5,000

    お礼メッセージ、琉球ガラスをあしらったブックマークとアクセサリー

    リターン

      ●お礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信
      ●琉球ガラスをあしらったブックマーク1点
      琉球ガラスの破片を大学生や過疎地域の子供たちがデザインを考えて製作した、手作りの品です。
      ガラスの色は30種類あり、大きさやデザインも1つとして同じものはございません。
      お選び頂けませんのでご了承ください。
      ●琉球ガラスをあしらったアクセサリー1点
      ブローチ、ストラップ、ヘアゴム、ネクタイピンから1点、ご希望をコメント欄へお書きください。記載なき場合はこちらで選びます。ガラスの色や大きさ、デザインはお選び頂けません。

    支援者の数 37

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

  • 残り19枚

    10,000

    お礼メッセージ、琉球ガラスをあしらったブックマーク、ノベルティグッズ

    リターン

      ●お礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信
      ●琉球ガラスをあしらったブックマーク1点
      琉球ガラスの破片を大学生や過疎地域の子供たちがデザインを考えて製作した、手作りの品です。
      ガラスの色は30種類程、大きさ、デザインも1つとして同じものはございません。お選び頂く事は出来ませんのでご了承ください。
      ●みらいを紡ぐボランティアのノベルティグッズ・Tシャツ1点
      現在製作中です。
      色は「赤・紺・黒・黄」から選べます。サイズもSから3L以上までお作り出来ますので、お好みのものをコメント欄へご記載ください。記載なき場合はこちらで選びます。
      ※前面には、みらいを紡ぐボランティアロゴ(カラーではなく白抜きでプリント)を、後面には雛の写真をプリントします。
      製造業者の都合で、デザインに多少の変更がある場合もございます。ご了承ください。

    支援者の数 31

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

  • 残り3枚

    25,000

    お礼メッセージ、ブックマーク、伊東孝一著「沖縄陸戦の命運」

    リターン

      ●お礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信
      ●琉球ガラスをあしらったブックマーク1点
      琉球ガラスの破片を大学生や過疎地域の子供たちがデザインを考えて製作した、手作りの品です。
      ガラスの色は30種類程、大きさ、デザインも1つとして同じものはございません。お選び頂く事は出来ませんのでご了承ください。
      ●伊東孝一さんが出版された「沖縄陸戦の命運」のコピー製本版1冊

    支援者の数 17

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

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