沖縄の戦没者の遺骨収集と、遺族への遺留品及び当時の手紙を返還する活動

歩兵第32連隊第一大隊の生き残りの方を再訪しました

  • Vol.53
  • 2019年08月08日 09時26分

沖縄守備隊の第24師団歩兵第32連隊・第一大隊の機関銃中隊に所属されていた笹島繁勝さん(98)にお会いしてきました。昨年に引き続き、3回目です。体調を崩されて入院されていましたが、学生たちとの面会に応じて下さり、お元気な様子もうかがえました。

同大隊の伊東孝一大隊長(98)以外で、唯一ご存命されてる元兵士で、「機関銃の名手だった」と大隊長も振り返られます。太平洋に面した小さな漁港で余生を送られていましたが、インフルエンザに感染して以来、病院ですごされています。

お訪ねしたのは、笹島さんの戦友である戦没者のことを聞き取るため。今回、お手紙をお返しする札幌市内のご遺族が、「父が戦死した状況を知りたい」と申し出られたのです。昨年、一昨年と、これまで2回、当時の状況を伺いましたが、より詳しい証言が必要に。ご遺族への詳細な報告書を作るためです。

この戦没者は、本島中部の戦闘で大怪我を負った際、あまりの苦しさに「笹島、殺してくれ、ひとおもいに殺してくれっ!」と縋って来られたと聞きました。最前線の兵士は医薬品を所持しておらず、野戦病院へ連れて行くにも、背負ったまま壕から身を乗りだした途端に集中砲火を浴びます。

「こんなに苦しんでいるのならば、殺してやろうか‥」と、笹島さんは手りゅう弾を握り締めたそうです。が、満州から行動を共にしてきた同郷の戦友は兄弟以上の存在。「辛くて、辛くて、一生忘れられない瞬間だった」と過去、証言されていました。

私たちが知りたかったのは、この戦友を置き去りにしたのか、それとも・・。厳しい質問ですが、思い切ってぶつけてみました。が、笹島さんの記憶が、1年前とうって変わって、不確かになっていたのです。詳細に語られていた戦友の名前が出てこないことも。あれほど、クリアに覚えられていた戦闘のディティールが、ほとんど出てきません。入院生活のためか、それとも体調不良の影響か・・。

約2時間余りお話を聞きましたが、想定していた成果は得られませんでした。残念ですが仕方ありません。時間の経過と人の老いの残酷さを痛感させられました。あれほど元気に、身振り手振りで語っていらっしゃったのに。時には、若い私たちを和ましてくれるようなジョークも。お腹を抱えるほど笑ったよ、と仲間たちが笹島さんを語ってくれます。

でも、「戦場で自分は人間ではなかった」「俺の腕の中で死んだ同期の友は元農夫。家族思いの優しい男だったのに・・」など、覚えられている話を聞かせて下さいました。そして「戦争は本当にいけない。二度と繰り返してはならないぞ」と諭すように語って下さいました。

遠い記憶を呼び戻して戴くために、32連隊第一大隊の戦友たちの写真をお見せしました。黙ったまま静かに、まだ幼さが残る仲間を眺める笹島さん。言葉を失ったまま、目を潤ませています。そして、思いを巡らせているかのように、一人ひとりを尊びながら手元へ引き寄せます。慈しむように。

戦争を体験された方々の話や姿を見聞き出来るのは、私たちが最後の世代なのかな、と実感します。時が経つにつれ、一人また一人と戦没者を思い出す人がいなくなっていきます。笹島さんのことも、その戦友たちも、今度は私たちが誰かに伝えていく必要があると感じました。

別れ際、手を差し伸べると満面の笑顔でハイタッチ。しわだらけだけど温かい手に98年間を生き抜いた生命を感じました。浜田さんは、「これが元気な頃の笹島さんだよ」と微笑みます。思った以上に力強く握り返してくる手からは、年月の重みと戦友を失った辛苦を感じました。

地獄の戦場をくぐり抜けた勇士が、弱々しく眠る病室。北国の夏の日差しが、横たわる元兵士を優しく包んでいます。ご苦労様でした、と言えるほどの経験や言葉を私たちは持ち合わせていません。でも二度と、あのような悲劇を起こさないように努めることを誓います。

(高木乃梨子)

  • 支援者

    129

  • 残り期間

    0

  • 集まっている金額

    1,700,000

    (達成) 目標金額:1,200,000

  • 達成率141%

    FUNDED!

2019年01月28日23:59に終了しました。

支援期間終了

起案者

実行者イメージ

みらいを紡ぐボランティア

私たちの会は、アジア・太平洋戦争で戦没さ ... れた兵士や民間人の遺骨を探し出して慰霊すると共に、遺留品などの持ち主を特定して、ご遺族へ返還する活動を実施する団体です。戦争による悲劇を二度と繰り返さないために、戦争体験者から聞き取った当時の様子や個人の心情を、調査、記録することで、若者たちに「歴史の事実」を継承する取り組みも続けています。
 また、過疎による人口の減少に苦しむ地域で、都会の若者が地方の高齢者や子供たちと交流しながら、地域おこしや環境保全、伝統芸能の継承に繋げて行く試みも行っています。活動の主体は、首都圏や関西圏などの大学に通う学生たちが担っています。
  • 1,000

    お礼のメッセージ

    リターン

      ●遺族の方々、伊東大隊長、学生達からのお礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信

    支援者の数 21

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

  • 残り177枚

    3,000

    お礼メッセージと琉球ガラスをあしらったブックマーク

    リターン

      ●お礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信
      ●琉球ガラスをあしらったブックマーク1点
      琉球ガラスの破片を大学生や過疎地域の子供たちがデザインを考えて製作した、手作りの品です。
      ガラスの色は30種類程あり、大きさやデザインも1つとして同じものはございません。
      お選び頂けませんのでご了承ください。

    支援者の数 23

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

  • 残り63枚

    5,000

    お礼メッセージ、琉球ガラスをあしらったブックマークとアクセサリー

    リターン

      ●お礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信
      ●琉球ガラスをあしらったブックマーク1点
      琉球ガラスの破片を大学生や過疎地域の子供たちがデザインを考えて製作した、手作りの品です。
      ガラスの色は30種類あり、大きさやデザインも1つとして同じものはございません。
      お選び頂けませんのでご了承ください。
      ●琉球ガラスをあしらったアクセサリー1点
      ブローチ、ストラップ、ヘアゴム、ネクタイピンから1点、ご希望をコメント欄へお書きください。記載なき場合はこちらで選びます。ガラスの色や大きさ、デザインはお選び頂けません。

    支援者の数 37

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

  • 残り19枚

    10,000

    お礼メッセージ、琉球ガラスをあしらったブックマーク、ノベルティグッズ

    リターン

      ●お礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信
      ●琉球ガラスをあしらったブックマーク1点
      琉球ガラスの破片を大学生や過疎地域の子供たちがデザインを考えて製作した、手作りの品です。
      ガラスの色は30種類程、大きさ、デザインも1つとして同じものはございません。お選び頂く事は出来ませんのでご了承ください。
      ●みらいを紡ぐボランティアのノベルティグッズ・Tシャツ1点
      現在製作中です。
      色は「赤・紺・黒・黄」から選べます。サイズもSから3L以上までお作り出来ますので、お好みのものをコメント欄へご記載ください。記載なき場合はこちらで選びます。
      ※前面には、みらいを紡ぐボランティアロゴ(カラーではなく白抜きでプリント)を、後面には雛の写真をプリントします。
      製造業者の都合で、デザインに多少の変更がある場合もございます。ご了承ください。

    支援者の数 31

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

  • 残り3枚

    25,000

    お礼メッセージ、ブックマーク、伊東孝一著「沖縄陸戦の命運」

    リターン

      ●お礼のメッセージ
      ●支援者限定の活動報告の配信
      ●琉球ガラスをあしらったブックマーク1点
      琉球ガラスの破片を大学生や過疎地域の子供たちがデザインを考えて製作した、手作りの品です。
      ガラスの色は30種類程、大きさ、デザインも1つとして同じものはございません。お選び頂く事は出来ませんのでご了承ください。
      ●伊東孝一さんが出版された「沖縄陸戦の命運」のコピー製本版1冊

    支援者の数 17

    お届け予定:2019年5月

    支援期間終了

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