クラウドファンディングも残り1ヶ月を切りました。
ご支援をくださいましたみなさまに、改めてお礼を申し上げます。
不動産会社との交渉も佳境に入っており、日々状況がめまぐるしく変化していますが、
今回は、アルケミストがこのクラウドファンディングで主張している二つの活動のうちのひとつ、
「小さな共同体プロジェクト」についてご報告させていただければと存じます。
「小さな共同体プロジェクト」は、木工や書道、外遊びなど、まちのそれぞれの方が自分の得意な分野で小さなグループを作り、
活動することで子どもに家・学校以外に立ち寄れる、仲間がいる場所を増やそうという試みです。
現在5つのグループが参加の意思表示をしてくださり、アトリエチーク、という木工制作を中心としたアトリエの方が
月曜日クラスでアトリエの対応をトレーニングしてくださっています。
来年度(4月から)地元玉川学園の児童館さんと南大谷の児童館さんが活動の機会をくださっています。
アルケミストの制作の場作りについて
アルケミストでは皆が「好きな制作」を行うことにしています。
それは「好き」を、いろいろなことを出来るようになっていくための牽引力にするからです。
好きなら、ねばれるし、失敗してもへこたれないからです。
神経科学的にも「自分から」「注目して」行う行動は、
受け身の行動に比べ飛躍的に脳神経細胞(シナプス)を増やすことが報告されています。
自分からやりたい、という気持ちが、「身につく」の後押しをするのです。
でも、本人の自主性を頼みにするだけでは、なかなか実際の場としては成立しにくいです。
人間ですから乗らない時もあります。
そんな日もありながら、身体のレッスンとして制作を学ぶ時間を成立させるにはどうしたらいいのか。
わたしたちは、制作を身体の行動別に分解・分類しました。それらの行動を「神経への栄養」と考えて、
バランス良く栄養を取れるようその子の状況に合わせて提案することで持続的に学べる場を作っています。
制作を、油絵や日本画、といった画材や材料で分けるのではなく、
行動で分けたということです。
アトリエの日々の制作
①8分間のクロッキー
②個々に興味がある制作をする
③後片付け
の3部で構成されています。
日常はまず、スタッフがモデルとなり、8分間集中して見てモデルを描く「クロッキー」からはじまります。
回数を重ねることで、その人なりのもののとらえかたや見方が練れてくることを
目的にしたものです。
「個々に興味がある制作」はおかあさんと喧嘩しちゃって今日はやる気しない!なんて日もあったり、その人の日々のペースに添いながら、のんびりと、寄り道をたくさんして進める制作です。
ここに、知らない手法や新しい素材との出会いを体験する「テーマ制作」
いつもの仲間や場所とはちがった刺激を受ける「ワークショップ」
がつづき、折に触れて季節ならではのイベントや制作が入り込みます。
(桜のスケッチや柿の収穫、ふきのとうで紙を漉く、やきいもなど)
集中するための工夫
アルケミストでは、リラックスしながら集中して制作をする環境をつくるために、
●場所●リズム●集中のスイッチを作る●スタッフの対応等々の工夫をしています。
●場所、ものの配置●
「クレヨンで赤い花を描きたい!」と思った時に、
ほしい色のクレヨンがみつからなければ、そこで勢いが止まってしまいます。
そのため、アルケミストでは、掃除をおどろくほどしっかりしてもらいます。
ものを置く場所を一定にさせることで、気持ちの勢いを極力削がないようにするためです。
これは、スタッフと通っているひと皆のルールになっています。
集中するために、気を散らすものを極力排除することをアトリエでは徹底的に行なっています。
絵を描く時に下に敷く新聞は読まないように、英字新聞にする。
ファブリックの柄や向きを毎回同じ向きに揃えて、視覚情報を変化させたり増やしたりをしないようにする。
一人で作業できる机と、皆でこじんまりあつまって制作できる机を用意して、
その日の集中度に合わせた場を選べるようにしている。。。
数え上げていくときりがないのですが、場所に小さな工夫を幾重にも重ねることで、
楽しげだけれど集中できる空間を作っています。
●リズム●
場の工夫だけではなく、どんな状況でも制作の気持ちと身体になれるように、
「クロッキー」という集中のスイッチをつくってもらいます。
時間のはじめに8分間のクロッキーをするルールによって、
「今日はちょっとのらないなあ」と思っても、クロッキーをするとつくる気分と身体になるように、習慣をつくります。
クロッキーは集中のスイッチであると同時に、その人のものの見方を積み重ねていくことを目的にしたレッスンにもなっています。
リズムーゆるめる、あそぶ、寄り道する
上記と相反するようですが、「今日はやりたくない!」と言う日は誰にでもあります。
状況的にそういった場合は、無理をしないというのも集中と興味を持続させる大事な要素です。
一見寄り道のような、完成品にならない遊びのような制作だとしても、それが本人の自主性から出たものならば大事な蓄積となります。
リズムー待つこと
花の蕾を、手でこじあけて咲かせることはできません。学ぶ、ということにはそれぞれペースがあります。
百パーセントタイミングが合うとは限りませんが「待ってもらえている」ということ自体が伝わると、
その人の制作によい影響をもたらすことはままあります。「正しいタイミングでなければ」と神経を尖らせず、
しっかり待つことが制作の力になることが多い、ということです。
●スタッフの組み合わせー場を回すのに長けたベテランスタッフと、経験の浅いスタッフがチームで担当する
経験の浅いスタッフは、まっさらな気もちで一生懸命ちびっこに向かいます。
対応自体は拙くても、制作に対する知識は浅くても、一緒に悩んで、その子の話を全力で聞こうとします。
これはじつは経験年数の長いひとになればなるほど、できなくなることです。
ベテランは、「場を回す」ことを優先させて、心の底からその子の発語を聴けない瞬間がどうしても出てきてしまいます。
聴くことに慣れすぎて、その子の言うことを流してしまうのです。それは私自身もあることです。
いま、木材を切るレクチャーをしていて、それについて話しているのに、
相手の子は今週ケンカしちゃった相手の子について愚痴っていたり、
面白かったテレビやゲームの話をする。
そんなときにベテランは「はいはい」といった感じで話を流しますが、
慣れていないスタッフは「うん、うん」と聴くことが多いのです。
時に、役に立つやりとりだけでなくて、聞いてほしい他愛もないことを聞いてもらえる方が
総体としてその人の制作がよく進む、ということは非常によくあることです。
そのために、新米スタッフと古参のスタッフが可能なかぎり
同じ場を回すというのがアルケミストのやり方になっています。
●スタッフの対応●
「上手」と言わない、というのがアルケミストスタッフの大きなルールになっています。
「じょうず」と褒められた子の多くは、もっと上手に描こうとがんばります。
それは行き過ぎると、「褒められるために描く」につながってしまいます。
よかれと思って「じょうずね」と褒めることは、そのひとを実は不自由にしてしまう場合もある、
ということをしっかり認識してスタッフは制作のサポートをします。
今回は、「小さな共同体プロジェクト」の進捗状況ご報告と、
場を作るための工夫を一部、ご報告いたしました。
対応を重ねてきた日々を学習科学、神経科学等のスケールで整理した理論を下敷きに、
スタッフの個々の性質を生かしたチームでの現場判断を優先させて対応していく、というものが
アルケミストの場作りです。
小さな工夫を重ねたこの場を守れればよいなと思っています。
引き続き、気にしていてくださると幸いに存じます。
アトリエ・アルケミスト 羽田由樹子
支援者
158人
残り期間
0日
集まっている金額
3,063,000円
目標金額:6,000,000円
達成率51%
2019年03月31日23:59に終了しました。
支援期間終了
3,000円
お礼のメール
リターン
支援者の数 31人
支援期間終了
5,000円
プロジェクトの仲間になってください
リターン
支援者の数 44人
支援期間終了
10,000円
プロジェクトを見守る仲間になってください
リターン
支援者の数 57人
支援期間終了
30,000円
プロジェクトを応援する仲間になってください トートバッグとポストカード
リターン
支援者の数 13人
お届け予定:2019年6月
支援期間終了
50,000円
プロジェクトを体感して楽しんでください ワークショップの無料体験ペア
リターン
支援者の数 6人
お届け予定:2020年6月
支援期間終了
100,000円
支援者様特別ランチ無料ご招待+α
リターン
支援者の数 5人
お届け予定:2020年3月
支援期間終了
300,000円
プロジェクトメンバーとの食事会ご招待
リターン
支援者の数 1人
お届け予定:2020年3月
支援期間終了
500,000円
個人・グループ・企業様支援
リターン
支援者の数 1人
お届け予定:2020年3月
支援期間終了