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コロナ危機に苦しむメキシコシティとマニラの子どもたちに居場所と食事を!

コロナ危機における「オリン・シワツィン」の現状 (運営委員・角 智春)

  • Vol.1
  • 2020年07月03日 17時55分

メキシコでは、2月27日に初のコロナウイルス感染者が確認された。現在、ブラジル、ペルー、チリに次いで、ラテンアメリカ・カリブ地域では4番目に累計症例数が多い(7月2日時点では、累計症例数は231,770名、死亡者数は28,510名)。

 ストリートチルドレンを考える会は、5月半ばから、メキシコの首都メキシコシティで貧困家庭の子どもたちのための保育所を運営する現地NGO「オリン・シワツィン」への緊急支援を始めた。ここでは、同NGOの代表であるディアナ・ペレス=パニアグアさんに5月に伺った話をもとに、メキシコシティの貧困地区で生活する人びとやその子どもたちがいまどのような困難に直面しているのかを報告する。

 オリン・シワツィン(以下、オリン)は、メキシコシティのセントロ地区にある教会の一角で運営される保育所だ。セントロはメキシコシティ有数の商業地区で、メルセー市場およびその周辺にひしめく露店や商店では、目が眩むほど雑多で多彩な食料 品や雑貨や衣料品が安価で売り買いされる。オリンはもともと、この商業地区で働いているシングルマザーのための託児所とし てスタートした。インフォーマルな商業やセックスワークに従事する親が家に不在のあいだ、子どもたちを安全な場所で預かって、一緒に遊んだり食事をしたりする。厳しい生活状況や困難の多い家庭環境において、幼い子どもが孤独や苦しみを抱えこまないようにすることが、オリンの活動の目標であり意義だ。「家」や「家族」が子どもにとって決定的に危険な場となる前の段階に関わる活動は、いうまでもなく、路上に生きる子どもを生まないことに大きく貢献する。

 代表のディアナさんが、保育所の運営状況を教えてくれた。「政府が外出を規制しはじめて以降、私たちは、開所日を週2〜3日に減らしていました。ここに通う子どもたちの親は、政府に禁じられたからといって仕事をやめるわけにいきません。子どもを預かりつづけてほしいという要望が寄せられ、現在は通常どおりの開所を再開した。政府の発表やニュースの情報、そして親からの要望をあわせて考え、開所・閉所の 期間と時間を柔軟に変えながら運営を続けている。オリンには現在、0歳から 6歳まで、約40名の子どもが登録されているが、感染のリスクから子どもを預けないと判断した親もいるため、いま通っているのは平均して20人程度のようだ。幸いなことに、いまのところ、子どもや親やスタッフから感染者は出ていない。

 メキシコ保健省が「健康的な距離を保つ期間」と名づけて全国規模の外出規制に着手したのは3月16日であったが、同月30日には全国に対して「公衆衛生の緊急事態」が発令され、人びとへの行動規制が強化された。都市や州をまたぐ移動が制御され、路上で監視にあたる警察が増員された。この時点で、スーパーなどの一部施設を除く商業活動は停止された。セントロ地区の活気ある路上は静まりかえる。オリンを利用する親の多くが、公には働けなくなった。日々働きつづけることで生活費をなんとか賄っている彼らは、建物の陰に隠れたり窓をカーテンで半分覆ったりして監視にあたる警察官から見つからないように工夫して、家から家、地区から地区へと移動販売をするかたちで商売を続けているそうだ。子どもたちの家庭の収入が、こうして急速に減っている。「半分よりもっと少なくなっていると思う。本当に厳しい」と、ディアナさんが言う。親たちはすでに、家賃、商店のテナント料を捻出できなくなっている。この事態に応じて、オリンは子どもたちの月謝の徴収をやめることにした。もともとこの保育園は、それぞれの家庭の経済事情にあわせて月謝の金額や徴収日を設 定し、足りない分は支援者からの寄付(現金や、給食のための食品)で補うという方 法で運営されている。

「こんどは全員からの徴収をやめました。そのかわり、親たちが代わる代わるに、缶詰やパンを持ってきて給食用に寄付したり、先生たちの補助役として子どもの面倒をみたりして、相互扶助で保育所を成り立たせています」「あるお父さんが、『月謝が払えないのでしばらくは子どもを預けない』と申し出てきました。私たちスタッフは、月謝は払わなくていいから、毎朝子どもたちを連れてきてくださいと答えました。そうすればここで子どもたちが朝食と昼食を食べることができるから、あなたは家で夕食だけきちんと用意してあげてください、と」

 オリンには4人のスタッフ(ソーシャルワーカーのディアナさんのほかに、先生が2 名、給食をつくるスタッフが1名)が常駐している。スタッフは開所の2時間前の朝6時半ごろに集まり、子どもたちの朝食となる給食の準備と、教室の清掃をはじめる。「保健省が奨励する方法に則り、以前よりも注意深く、殺菌用の洗剤を使って掃除しています」おもちゃ箱や本棚をすべてひっくりかえして、子どもの手にするものをきれいに拭く回数も増やした。子どもたちには、手洗いを徹底させ、顔も念入りに拭いているという。子どもは当然、歌ったり、叫んだり、取っ組みあったり、床を転げまわったり する。鼻水を流してもおかまいなしで遊びつづけるし、よく泣く。こうしたなかで、できるかぎり顔や手足を清潔に保つことが大切になる。スタッフはほんとうに大変だろう。それぞれの生活がこれほど追い詰められ、親が家に居る時間も増えれば、ふだんから子どもにもたらされる可能性のあった家庭内暴力が、より激しく頻繁に発生する帰結は十分に予想される。長年の経験を備えたスタッフが、こうした可能性に日々意識をむけ、対応していくことになる。そしてなにより、彼らの生活そのものがどこまでもつのか、現時点で明るい見通しを立てることはできない。

 コロナウイルスによる危機をめぐっては、政府による対応の遅さや、検査の実施数の少なさ、社会的補償の放棄といった、多くの国に類する問題点に加え、メキシコという国家・社会に特徴的な危険も感じられる。この国の政府は、何十年間にもわたって制度全般を汚職と嘘で塗りかため、 医療・保健分野の整備・発展に不誠実であった。ウイルスとその感染状況をめぐるすべての政治的判断や報道や医療的対策について、人びとは不信と混乱を抱いているその不安と恐怖は、想像をはるかに絶するものだ。もちろん、彼らのたくましさが、 われわれのそれなどと同じ物差しでは測れないことも身に染みてわかったうえで。



毎年訪問している共同代表・工藤律子とボランティアをした経験のある運営委員・角智春が、NGO「オリン・シワツィン」をスライドを交え紹介するイベントをオンラインで開催します。奮ってご参加ください! 

日時  7月18日(土) 午後6時~7時40分頃 
Zoomを使ってのオンライン報告会です。
午後5時50分くらいから入ることができます。 
参加費   無料
申し込み 1人1通のメールに、氏名と「学習会参加」と書き、
info@children-fn.comへ送信してください。
報告会の数日前にZoomに入るためのリンクをお送りします。

  • 支援者

    72

  • 残り期間

    0

  • 集まっている金額

    546,000

    (達成) 目標金額:500,000

  • 達成率109%

    FUNDED!

2020年10月09日23:59に終了しました。

支援期間終了

起案者

実行者イメージ

ストリートチルドレンを考える会

私たちは、世界に1億人以上いるといわれる ... ストリートチルドレンとはいったいどんな子どもたちなのか?詳しく知り身のまわりの問題と合わせて考えることで、世界中の子どもの未来を考え行動する人の輪をつくろうと活動しています。今年で27年。全員ボランティアで運営しています。毎年メキシコとフィリピンでストリートチルドレンやNGO施設に暮らす子どもたちと交流するスタディツアーを実施したり、チャリティパーティー等を行っています。毎月ニュースレター「¡Vuela !(とんでごらん)」を発行。ストリートチルドレンを支援している海外のNGO(非政府組織)を寄付や訪問、ボランティア人材の育成などを通して応援しています。
  • 3,000

    現地NGOからのメッセージ

    リターン

      ■現地NGOからのメッセージ(メール)
      ■ストリートチルドレンを考える会のニュースレターをお送りします。(PDFファイル 1部)
      ■活動報告書をお送りします。(PDFファイル)
      ※複数口でのご支援も可能です。

    支援者の数 27

    支援期間終了

  • 5,000

    現地NGOからのメッセージ

    リターン

      ■現地NGOからのメッセージ(メール)
      ■ストリートチルドレンを考える会のニュースレターをお送りします。(PDFファイル 1部)
      ■活動報告書をお送りします。(PDFファイル)
      ※複数口でのご支援も可能です。

    支援者の数 23

    支援期間終了

  • 10,000

    オンラインで子どもたちと会う

    リターン

      ■活動報告書をお送りします。(PDFファイル)
      ■ストリートチルドレンを考える会のニュースレターをお送りします。(PDFファイル 1部)
      ■ストリートチルドレンを考える会が主催するオンライン・イベントにご招待します。
      ※オンライン・イベントはビデオ通話サービスZOOMを利用予定。
      ※開催時期は9月以降を予定しております。決定次第、ZOOMへの入り方などを個別にご案内させて頂きます。

      ※複数口でのご支援も可能です。

    支援者の数 20

    支援期間終了

  • 30,000

    オンラインで子どもたちと会う

    リターン

      ■活動報告書をお送りします。(PDFファイル)
      ■ストリートチルドレンを考える会のニュースレターをお送りします。(PDFファイル 1部)

      ■ストリートチルドレンを考える会が主催するオンライン・イベントにご招待します。
      ※オンライン・イベントはビデオ通話サービスZOOMを利用予定です。
      ※開催時期は9月以降を予定しております。決定次第、ZOOMへの入り方などを個別にご案内させて頂きます。

      ■ストリートチルドレンを考える会オリジナル・ポストカード・セット
      ※ポストカードの写真はこちらで選ばせて頂きます。
      ※複数口でのご支援も可能です。

    支援者の数 2

    お届け予定:2020年10月

    支援期間終了

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