前回の”Vol 2 ところで、IMPACT HERO 2019 ウェイウェイ・ヌーってどんな人？”では、彼女の生まれや生い立ちといったバックグラウンドをご紹介させていただきました。

https://a-port.asahi.com/updates/earthcompany-waiwai/detail/4435/?page=1

今回の連載記事では、彼女が刑務所に入ることになった経緯と、実際の刑務所の中での体験をご紹介させてください。

突然、家に警察がやってきた。

2005年。ウェイウェイは当時ヤンゴンにある大学に通う普通の女子大生でした。

突然家に警察がやってきて、家族全員が逮捕されたその日から、人生が大きく変わり始めました。

大学2年生が終わり、3年生になる直前だったある日のこと。突然、家に大勢の警察が来て、「家族全員逮捕する」と言われました。「政治家だった父親がアウンサンスーチと一緒にいたから」という理由だけで、刑務所に入れられることになりました。

課せられた刑期はウェイウェイは17年間、ウェイウェイの父は47年間でした。

その日から父・母・兄・姉・ウェイウェイの5人は刑務所での生活が始まりました。

刑務所での生活

投獄された刑務所はヤンゴンに位置する、女性だけで2,000人が収監されている施設でした。綺麗な水も保証されず、シャワーの水の量も制限される。1部屋約100人から150人くらいが収監されている大部屋に入れられました。

母、姉、ウェイウェイに与えられた空間は非常に狭く、畳1枚ほどのスペースに3人で生活をする日々でした。

受刑者との会話

刑務所にいる間、労働などの義務はなく、時間は淡々と過ぎていきました。その中でウェイウェイがしていたことは、同じ部屋にいる受刑者の話を聞くことでした。刑務所の中では、売春、薬物売買、ギャンブルなど様々な理由で刑務所にいる女性たちと会話を重ねました。何百人、何千人という、本当にたくさんの人と信頼関係を築いていきました。

その中で気が付いたことは、

「一度社会のシステムから抜け落ちてしまった女性たちが再び社会復帰して生きていくことはミャンマーでは非常に難しい」

ということでした。

売春が違法なミャンマーでは、過去にそれが原因で逮捕歴があると、刑務所から出たあとも社会復帰することは難しいのが現状です。しかし、元をたどると、彼女たちの生活にとって売春は生きていくための最後の唯一の手段であり、仕方がなくその道に走ってしまっていた、そんな事実に気が付きました。

ウェイウェイは、生きていく最終手段が「売春」という、ミャンマーの社会システムの歪みに対して疑問を覚え、女性がより力強く生きていくために、女性のエンパワーメントに関心を持つようになりました。

父との文通

政治犯として逮捕されたウェイウェイの父は、ヤンゴンから遠く離れた場所にある刑務所に収監されました。ウェイウェイは逮捕されてから、一度も父と会うことはできず、手紙での文通をずっと続けていました。政治家になる前は教師だったウェイウェイの父は、

「刑務所の中にいても、勉強への情熱は忘れてはいけない」

といって、常にウェイウェイへの教育をずっと気にかけていました。

大学在学途中に逮捕されたウェイウェイは、教育の機会が奪われたことを一番困難に感じていました。

「学びの権利が奪われる。私が刑務所にいた時に、一番辛かったことは大学に通うことができなくなったことでした。」

2005年に無実の罪で逮捕され、17年の刑期が言い渡されたウェイウェイ。このような刑務所での生活が2012年まで7年間続きました。

（次回 ”Vol.4 投獄生活7年。ウェイウェイだからこそ今語れる、その体験とは？” に続く）

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【過去連載】

Vol.1 ＼新連載 "Story of an Impact Hero／

Vol.2 ところで、IMPACT HERO 2019 ウェイウェイ・ヌーってどんな人？

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