前回の記事、”Vol.3 突然、家に警察がやってきた。18歳のウェイウェイに起こったできごと”では、彼女が逮捕された経緯と、刑務所での中の生活についてご紹介させていただきました。

この回の連載記事では、ウェイウェイが7年間の刑務所での生活で学んだことと、そこから得た教訓についてご紹介させてください。

2012年1月、釈放

2010年11月、ミャンマーでは総選挙が行われました。20年以上に及ぶ軍事政権は、2008年の国民投票に基づいて行われた新憲法に則り、選挙の実施を決めました。

高まる国際社会からミャンマー軍事政権への圧力のもと、2012年1月、国際人権NGOであるアムネスティインターナショナルによって行われた調査の結果、623人の政治犯として収監されている人々を釈放することになりました。

ウェイウェイはそのうちの1人でした。

「正直、釈放されるとは思っていませんでした。これまでにもアムネスティの調査が入ったことはあったので、特に期待はしていませんでした。むしろ、釈放という希望を失っていました。刑期は17年でしたから。」

出所が決まった朝

逮捕から7年経ったある日、仲の良い刑務所のスタッフから、

「ウェイウェイ、ビッグニュースよ！解放される人の名簿にあなたたちの名前が載っているわ。」

と言われました。

家族3人が同時に釈放されることを告げられました。

母、姉、ウェイウェイの家族3人でいるケースは稀でしたし、3人一緒に釈放されるのもあまりないことでした。

その時、何より嬉しかったのが、まわりの友人が私たちのために涙を流してくれたことです。今までずっと一緒に過ごしてきた中でしたから、釈放されることになって自分のことのように喜んでくれました。

7年の刑務所生活で得た2つの教訓

7年という時間を刑務所で過ごしたウェイウェイでしたが、この時の経験がいまの活動に大きく影響しているといいます。今取り組んでいる課題の原体験は、7年間で得た『2つの教訓』でした。

①社会における女性の扱いの不当さ

「刑務所にいた女性たちが経験してきた困難を聞いたときに、社会の不平等を感じた。刑務所から出たら、女性のために行動したい。」

何千人という女性との対話の中で、どうして受刑者の人々が罪を犯さなければいけなかったのか、ということを聞き続けました。女性という理由だけで、男性よりも不当な扱いを受けている。

ウェイウェイは、この現状を変えたいと思うようになりました。

②教育は未来への希望を作る

「刑務所の中では何より辛かったことは、教育を受ける権利がなかったこと。」

逮捕されたウェイウェイは当時大学2年生。

大学生だった彼女にとって、刑務所の中では授業も受けれず、好きな本も読めなかったことが一番苦しいことだったといいます。刑務所の中に持ち込みを許されたのは、1冊の英語の基礎の本。

ウェイウェイはこの本を毎日毎日読み込んで、他の受刑者に英語を教えるまでになりました。

ウェイウェイは勉強への熱を失わなかった一方で、たくさんの同世代の若い人たちは勉強することを諦め、未来への希望を失っていました。

その時、誰もが教育を受ける権利を持つ世界にしたい、そう強く誓いました。

（次回 ”Vol.5 7年の投獄生活に終止符。そこからグローバルリーダーへ” に続く）

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【過去の連載記事】

Vol.1 ＼新連載 "Story of a Impact Hero／

Vol.2 ところで、IMPACT HERO 2019 ウェイウェイ・ヌーってどんな人？

Vol.3 突然、家に警察がやってきた。18歳のウェイウェイに起こったできごと

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