ナイロビに住んでいる日本人家族にとって、公文さんは実はとても心強い存在だ。
日本人の小児科の先生が子どもたちの往診をしてくれるおかげで、安心して生活ができていると思う。
そんな公文さんが始めたシロアムの園を初めて訪れた時には、大きな衝撃を受けた。普段、仕事で報道目的の写真を撮影している自分だが、障がい児をサポートする場所が、こんなに笑顔だらけだとは想像していなかった。
ナイロビの街ではあまり障がいのある人に会うことはない。身体的な障がいのある人を見かける場合、ほとんどは物乞いだ。可愛らしい障がいのある子どもがたくさん集まっているのを見たのは初めてだった。
眠っているような表情をしていたのに、公文さんが至近距離で大きなスマイルを見せると、つられたように目と口を大きく開き、笑いが止まらなくなる男の子。この笑顔こそ、この場所の象徴だと思った。
また、そこには嬉しそうに笑っているお母さんたちも並んでいた。専門家の支援を得られるのに加え、同じ境遇の子どもを持つ保護者としてお互いに話すことができる場があることがどれだけ心強いか、表情が物語っていた。
ケニア人のスタッフが一人ひとりに合わせて細かく対応していることは、そばで見ていてよくわかる。言われても自分にはわからないような子どもたちの小さな表情や仕草の違いをきちんと読み取っているのは驚きだった。
スタッフはオンラインで日本の専門家から直接指導を受けながらリハビリを施したり、情報交換をしたり、話し合いも真剣だ。心から子どもたちを思う優しさがあるから、どんなに泣いても、食べ散らかしても、ほほ笑んで受け止められているのだろう。
コロナウイルスの猛威で一時閉園を余儀なくされた時期に、作業療法士のチームに同行させてもらった。一軒一軒家庭訪問して、子どもにトリートメントを施し、必要な薬とともに食料などの生活支援物資を定期的に届けていた。
街の閉鎖(ロックダウン)が長引く中、母親が蒸発してしまい祖母が面倒を見ている家庭や、母親の長時間労働で子どもたちだけが狭い一部屋に残されている家など、貧困の中のもろい現実があった。
「シロアムの園」は障がい児だけでなく、その家族の生き方までもサポートし、スタッフの専門性を磨き、訪れる全ての人たちに影響を与える場所だ。きっと今後は先駆的な取り組みの行われる場所として、ケニアの障がい者支援を変えるきっかけになるに違いない。
草ぼうぼうの土地に立ち、ここに新しいシロアムの園ができることを想像してみる。
たまに訪れるだけの自分でさえ、なんとも言えず嬉しい気持ちになる。近い将来、完成した喜びの写真を皆さんにお伝えできることを楽しみにしている。
フォトグラファー AFP通信社 千葉 康由 さん
朝日新聞社写真部からフリーランスとなりケニアへ移住。直後に起きた大統領選挙の混乱を機にフランスのAFP通信社へ写真提供を始める。同通信社のスタッフフォトグラファーとしてブラジルで活躍後、現在は東アフリカのチーフフォトグラファーとしてケニア・ナイロビ在住。世界報道写真コンテスト2020大賞など受賞多数。「シロアムの園」の写真を撮り続けている。
支援者
774人
残り期間
0日
集まっている金額
16,216,000円
(達成) 目標金額:15,000,000円
達成率108%
2021年11月19日23:59に終了しました。
支援期間終了
3,000円
シロアムの園を応援します!
リターン
支援者の数 181人
支援期間終了
5,000円
シロアムの園を応援します!
リターン
支援者の数 150人
支援期間終了
10,000円
シロアムの園を応援します!
リターン
支援者の数 260人
支援期間終了
30,000円
シロアムの園を応援します!
リターン
支援者の数 59人
支援期間終了
50,000円
シロアムの園を応援します!
リターン
支援者の数 81人
支援期間終了
100,000円
シロアムの園を応援します!
リターン
支援者の数 43人
お届け予定:2022年7月
支援期間終了